富士登山の歴史

山中湖からの夏富士

2013年6月に富士山が世界遺産に登録されてから、1年が経ちました。今年も多くの登山者で賑わっています。

修験者の修行の地だった富士山
富士山は古来より、神聖な山として考えられており、聖徳太子が空飛ぶ馬にのって登頂したという話があります。平安時代の頃は、富士山は噴煙を上げていて、まさに命がけの登山だったようです。鎌倉時代、室町時代は、富士行人と呼ばれる一部の修験者の修行の地でした。
富士参詣の人々を「道(導)者」といい、例えば『妙法寺記』の明応9年(1500年)の記録に「此年六月富士導者参事無限、関東乱ニヨリ須走へ皆導者付也」とあります。また、登山における案内者・先導者を「先達」といい、先達の名が見える道者帳(『公文富士氏文書』、文中に「永録6年」とあり)などが確認されています。 登山口は、末代上人が開いた登山道を起源とし、その最初の登山道と言われる村山口により富士修験が成立したとされています。次第に他の登山道も開削され、13世紀には大宮・村山口、吉田口、須山口の3登山道の存在が確認されています。後に須走口が出来たとされ、15世紀後半には他の登山口と比べ吉田口を利用する道者が目立つようになっていたと言われています。

富士登山の隆盛と「富士講」
富士登山が最も盛んになったのは江戸時代に「富士講」が広まってからです。「富士講」は、江戸時代に成立した民衆信仰のひとつで、特に江戸を中心とした関東で流行した角行の系譜を汲むものをいいます。富士講の活動は、定期的に行われる「オガミ」とよばれる行事と富士登山(富士詣)から成っていました。 信仰の拠りどころとして石や土を盛って富士山の神を祀った富士塚(自然の山を代用することもある)を築いていました。現在、江古田(東京都練馬区)、豊島長崎(同豊島区)、下谷坂本(同台東区)、木曽呂(埼玉県川口市)の4基の富士塚が重要有形民俗文化財に指定されています。 富士詣は冨士講の衰退とともにほとんど行われなくなりましたが、現在でも 富士講を富士山で見ることができます。

また、初めて富士山に登頂した外国人は、初代英国公使のラザフォード・オールコックです。彼の手記によると麓から8時間かけて登り、山頂に1泊。お湯を沸かしてコーヒーを飲み、ビスケットを楽しむ余裕。なお、彼の手記では、1707年の宝永火山噴火と同時に琵琶湖が出来たと記してあります。

 現在の富士登山

山頂を目指す登山者の行列

富士山のシーズンは7月と8月です
一般的な富士登山の期間は、山開きの7月1日から8月下旬までです。この期間はほぼ全ての山小屋が営業しているため利便性が高く、初心者でも富士登山が楽しめます。しかし山開きはしても、残雪の多い年は7月中旬まで登山道に雪が残ることもあり、ルートによってはその頃まで通行止めとなっていることがあるので注意が必要です。 
富士山のシーズンは7月と8月ですが、日によって登山者数が大きく異なります。7月中旬〜8月下旬の金土日祝が混雑し、さらに、8月上旬〜中旬は平日も混雑します。近年の登山ブームで、登山者数はここ10年で急増し、平成19年までは20万人前後で推移していた登山者数が、平成20年に30万人を超えて以来、毎年30万人〜32万人が登っています。

吉田ルートの登山道の様子

現在使用されている主な登山道は、静岡県側の「富士宮ルート」・「須走ルート」・「御殿場ルート」、山梨県側の「吉田ルート」の4ルートです。その中でも、観光が主産業であり富士山観光開発を積極的に行っている吉田ルートの登山者が最も多く、全登山者の60%が吉田ルートからの登山者です。

富士登山で注意しなければならないこと
富士山では、高山病によって登頂を断念する登山者が多くなっています。登山初心者による弾丸登山と呼ばれる0泊2日の登山や、日帰り登山など、短時間で高度を上げたために高山病を発症したと見られます。最近は、ゆっくりとしたペースで登る2泊3日の登山も増えてきましたが、まだまだ日帰り登山が多くを占めています。 安全で快適な登山を楽しむために、途中で1泊するようなゆとりある登山行程を計画することが必要です。登山ルートによって特徴が異なるため、自分にあったルートを選択することも必要です。

山頂を目指す場合は、できるだけ途中の山小屋で1泊しましょう。未明に出発することになるため、早めに山小屋へ到着し、できるだけ長い時間、休憩と仮眠をとりましょう。

ご来光は、登山道の途中でも見ることができます(富士宮ルートを除く)。焦って山頂を目指すよりも、前日の夕刻に山小屋に到着してグッスリと休めば疲労も回復し、山頂付近の登山道の混雑も避けることができます。

 富士登山が人気なワケ

ご来光

日本一の高さと快適さ
富士山は日本一高い山です。
やはりこの事実こそが、富士登山への意欲をかきたてる一番の理由と言っていいでしょう。富士山の山頂から眺める景色はまさに「日本一の高さ」から見るものであり、登山を愛する人たちにとってもこれ以上ない達成感なのではないでしょうか。 また、富士山は、吉田ルートでは5合目まで車で行くことができるほか、登山道に16の山小屋があり、ほかの標高が高い山と比べると安全に登れる環境が整っています。富士山の場合、女性専用の着替えスペースを新設したり、トイレをキレイにするなど、宿泊環境を充実させていることも人気の理由でしょう。

次に、富士登山には数多くのガイドツアーが用意されています。
登山初心者でどうやって歩いたらいいのか分からない、何を持って行ったらいいのか分からない、という人も、経験を積んだガイドが同行するとなれば安心です。 登山口までのアクセスに困っている人も、バスツアーならあっという間に連れて行ってもらえるので心配ありません。ガイド付きやガイド無し、バスと山小屋がセットになっているもの、温泉がオプションとして付いているものなど、ツアーの種類も豊富に用意されています。
その他、富士山は外国人からも人気が高い山です。
外国人に「日本と聞いて思い浮かべるものは何か」という質問をすると、ほとんどの人が富士山と答えるそうです。それだけ外国にも馴染みが深い富士山ですから、富士登山の為に外国人が来日することも珍しくありません。

「富士山でご来光を見たい」
最後に忘れてはならないのが、富士山に登る理由を聞いたときに必ずトップ3に入る「富士山でご来光を見たい」です。
日本一の山から見る超絶景!写真や映像でみるものとは全く違った感動があるのでしょう。こればかりは、実際に目にした人にしか分からない感覚だと思います。

富士登山に感じる魅力は人それぞれですが、せっかく登山をするならやはり日本一の山に登って達成感を味わいたいものです。

 富士登山の前後には「紅富士の湯」へ

紅富士の湯露天風呂から見上げる富士山

富士登山前後のお客さまが非常に多い 「 紅富士の湯 」。
その理由は、①富士山からほど近い立地…富士スバルライン5合目から50分で紅富士の湯。②富士山の絶景を満喫できる眺望…露天風呂はもちろん、内湯からも富士を望むことができます。しかも、富士の裾野にある紅富士の湯ならではの絶景です。

◆ 登山前のご利用なら
これから 「雲海」・「ご来光」など、登らなければ決して味わうことのできない絶景に出会う前に、下界からの富士を満喫し、想像を膨らませながら、体と心を整えることができます。夕刻以降は、山小屋の灯りに期待感が高まります!

◆ 登山後のご利用なら
間近にそびえる富士を眺め、その余韻に浸っていただけます。富士から下界を見下ろせば、くじら形をした山中湖をはっきりと確認することができます。上から見下ろした富士五湖最大・富士山に一番近い湖「山中湖」に今いるという満足感と、富士登山の達成感を味わってください。

いろいろな登山方法があるかと思います。予定や体力等、それぞれに合った富士登山をお楽しみください。そして、富士絶景日帰り温泉「紅富士の湯」をご活用ください。

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